天井にぶら下がった2つのライトが、僕を見下ろしていた。
寝る前にベットに横になると、いつもあれが見えた。
お前は劣った生き物なんだと告知されている気分だった。
「よし、今日死のう」と僕は決めた。
高校三年生の春。僕は複視という、物体が2つに見える眼の障害に苦しんでいた。
指を一本目の前に立てて、片目ずつ、つぶってみて欲しい。
左右で微妙にずれると思う。
その両方が、僕の眼には常に写っている。
原因は、ネットゲームのやりすぎだ。
最初は気が狂いそうになった。
前から歩いてくる人を避けることが、こんなに難しいことだとは思わなかった。
襲いかかってくる車や自転車が怖くて、外にも出なくなった。
頼みの綱であった眼科の医者からは、日常生活が困難なレベル、病院では治せないと診断された。
矯正眼鏡も作ってみたが、掛けると異常に疲れて何もできなくなる。
生きていても絶対おもしろくないので、死ぬことにした。
ネットで自殺の方法を調べる。
案外難しそうだ。
いつになったらこの国は安楽死制度を作ってくれるのだろう。
生きる自由があるなら、死ぬ自由もあってほしい。
上記は以前書いていたノンフィクション小説の出だし。
ちょっと格好つけているが、今でも複視には悩んでいる。
今日も映画「アリー、スター誕生」を見に行ったが字幕だったので片目で見るしかなかった。
映画を見ている最中ずっと片目で見続けることは、とても苦しい。
ゲーム中毒とは、精神障害と正式にWHOに認定された病気だ(2018年6月認定)。
具体的な症状として下記がある。
1.他の活動よりもゲームが優先。他の活動を優先すべきでもゲームをとってしまう。
2.こういった行動を自分で制御できず、悪影響が出たとしてもゲームを継続してしまう。また段階的に上がってしまう。
3.この状態が個人、家族、社会、職業の機能に重大な苦痛と障害をもたらす(睡眠パターンの乱れ、食事障害を含むことも)。
僕はまさにこれだった。寝る間を惜しんでゲームをするのは勿論、風呂の中にパソコンを持ち込んでまでしていたから、狂気の沙汰だ。
家族とのディナーで、ギルドバトル(ゲーム内の戦争)があるからと走って帰ったこともある。
今では一切ゲームに関わらず、現実世界を頑張ることにしている。
というのは本当であり、嘘でもある。
プログラミングを学んだことによって、ゲームを作る側にまわったからだ。
今はサイバーセキュリティの学習ゲームを作っている。
おいおい、ゲームの被害者を増やす気か、と思うかもしれない。
けれど、そうではない。
ゲームに対する熱意を学習に持っていきたいんだ。
ゲーム中毒から抜けた後の脱力感。
自分が今までなんて時間を無駄にしたのだろうと自責の念に耐えられなくなる。
だから、ゲーム中毒になるほどには嵌らなくて、実世界に役立つゲームを作っている。
「何かを作る」楽しみは何物にもまさる。
それに、ゲームの作り方を知れば、ガチャで手に入るカードが、データベースの0か1でしかないと理解できる。
0が持っていない。1が持っているだ。
その0を1に変えるために、人によってはお金と時間と、そして健康を失う。
今日は、健康を失ってしまった僕が、同じく失いつつあるゲーム中毒者の人へ、対処法を伝えようと思って記事を書いている。
ちなみに、ゲームなんて気持ちの持ちようで辞めれるだろう、という人はそっとページを閉じて欲しい。
辞められないから病気なのだ。
麻薬と違ってゲームは日常にあふれているから軽視されているが、麻薬中毒やアルコール中毒と同じで、ゲーム中毒者の人生も転落に向かう。
けれどゲーム中毒者の人は、その集中力を他に発揮すれば現実世界でもゲームのようにレベルアップして次のステージに進める。
実際僕は、他の人から異常と呼ばれるほど深い集中ができる。
朝起きて寝るまで同じことに没頭できる。
喋りかけても全く反応しないので、パートナーを困らせることも多い。
面白いことに、集中している間に話しかけられたことは、集中から覚めた時に一気に聞こえる。
僕みたいなタイプは学校では扱いづらいし、社会不適合者と見なされるのにそう時間はかからないと思う。
しかし、物づくりには向いているし、集中力がなによりの強みである。
そういう人たちでも生きていけるよ、ということを示したいと思っている。
ゲームを辞めたいけれど辞められない人。
特にそのことで人生が転落しかけていると思っている人へ。
ここでは3つの方法を示す。
理想的な辞め方と、現実的な辞め方、とりあえず辞める方法。
1.理想的な辞め方
人生で達成したい目標を作る。
ゲームに熱中することが、それを阻害すると理解する。
辞める。
僕はこの方法であっさり辞めることができた。
しかし、ゲームを新しくする度に再発するので、その度にこの方法で辞めている。
最初にゲームを辞めたときは、ゲームにハマるエネルギーを学習に持ち込んで、ゲームに嵌ったらそれが学習になるようなゲームを作りたいと思った。
いま僕が大学院の博士課程で学習ゲームについて研究しているのは、この頃の思いがある。
また、当時の学校は理解がなく僕を排除する方向に動いていたので、日本の洗脳的な教育をどうにかしたいと教育分野で起業している。
2.現実的な辞め方
現実的な辞め方は、ゲームより楽しいことを見つけること。
ただし現実的とは言ってもこれは容易ではない。
ゲームは楽しすぎる。
当然だ。
ゲーム開発者はいかにユーザーを熱狂させるかを考えて設計している。
勿論これは悪いことではなく、ユーザーを楽しませようという思いからだ。
ゲームより楽しいことの1つが、ゲームを作ることだと思う。
ゲームを作る技術、プログラミングを学んでほしい。
宣伝するつもりではなかったけど、せっかくなのでゲームの作り方の学び方を書いている自分の本を紹介する。

3.とりあえず辞める方法
ゲームへのアクセスを阻害する。
具体的には、ゲームのアイコンを消す。
つまり、アンインストールする。
これはお手軽で効果が大きい方法だ。
ゲームをしようと思ったときに、またインストールからか、と思うと少し躊躇う。
自分で出来ないときは、パートナーや友達、家族に削除してもらうと良いと思う。
僕はクラッシュアンドクランにハマって課金も相当して自分では消せなかったので、当時の友達にお願いしてスマホを渡し削除してもらった。
この時の気分は最悪だけど、数時間経つと爽やかな気分になる。
しかし、ゲーム中毒になっている場合は、例え決意してアンインストールしてもすぐインストールするだろう。
タバコをなかなか辞められないのと同じ。
病気だからしょうがない。
この場合は、1か2を試すか、病院に行くのが良いと思う。
例えば、久里浜医療センターは、ネット依存治療部門(TIAR)がある。
僕は自力で克服できたが、僕の方法が再現性があるかは怪しい。
実はゲーム中毒になった原因が、たんにゲームが楽しすぎるから、の人は少数派らしい。
家庭に問題があるとか、ストレスがある人がなりやすい。
僕自身、ゲームに嵌ったきっかけは、中学生の時の親友に裏切られて6万円ものお金を盗まれたからだ。
正確に言うならケータイのチップを取られて、課金させられていた。
彼もある種の中毒だった。その後、彼は違う事件で退学になった。
ここまで読んでくれたあなたは、きっとゲームで悩んだことがあると思う。
ぜひ、作る側の楽しさを知ってほしい。
僕のゲームに対する今の目標は、医者から治らないと言われた障害を治して、ゲーム実況をすることだ。というわけで毎日リハビリに励んでいる。
リハビリ方法を簡単に紹介しておく。
バランスよく運動する。具体的には両手でテニス。
僕の場合は眼筋の麻痺が原因だから、眼の血行を良くすることを意識している。
運動としては水泳とテニス、バトミントンを主にしている。
大切なのは、両手ですることだ。片方だけだと、どうしてもバランスが偏ってしまう。
だから僕は、右利きだがテニスも卓球もバトミントンも左手でラリーができる。
これは練習すると誰でも出来るようになると思う。練習しないと出来ない。
家のドアに眼の体操シートを貼る
眼の体操が重要だが、なかなか習慣づけるのは大変だ。
だから僕は、毎日開けるドアの前に眼の体操シートを貼っている。
ドアを開けるときに、目の体操をする、というルールを作っている。
これはif-thenプランニングと言って、人が一番行動しやすい法則だ。
眼の運動でお薦めの本は「脳は眼から鍛えなさい」。
本を読みながら具体的なトレーニングが紹介されていて、習慣化しやすい。
上級編は一回終わらすのに時間がかかるので初級編をしている。
ブルーベリーを食べる
ブルーベリーに含まれるアントシアニンが眼にいいのは周知の事実だ。
僕は毎朝スムージー(野菜と果物をミキサーしたやつ)を飲んでいて、冷凍ブルーベリーも入れるようにしている。ブルーベリーを食べることを習慣化するには、スムージーがいい方法だと思う。野菜も取れるし。
できるだけスマートフォンを見ない
スマートフォンは便利な半面、健康は害する。
見る姿勢が問題で、首を傾けて見るのは本当によくない。
だから出来るだけ見ない工夫をしている。
具体的には、TwitterとかFaceBookとかのつい見てしまうSNSはそもそも入れていない。
PCでも問題なく見れるので、PCで見るようにしている。
アイマスクをする
眼の血行を良くするアイマスクを寝る前にしている。
最近は、本屋で気になって買った、1日1分! 目から血流促進 疲労回復アイマスク 【特別付録】 RHアイマスク をつけている。
本当に効果があるのか眉唾(怪しい)だったが、寝付きがよくなった。
以上。あと眼がすぐ疲れる人は、コンタクトや眼鏡の度が合っているかチェックしたほうが良い。僕はずっと眼科で測るのが面倒で、てきとうに選んだ度をつけていたら、全然違っていて後悔した。度をしっかり測って正しいのを買ったら、だいぶ疲れが軽減された。
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