著者 北村拓也

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ただの大学生が出版社を作って、大失敗して潰した話

はじめに

僕は大学3年生の冬(2013年)に出版社を作った。出版社の定義は知らないが、株式会社だったし、名前に出版と入っていたし、書籍を出版して売ったから、出版社と言っていいと思う。そして、失敗した。出版した本が全く売れずに、手伝ってくれていた友人も辞め、出版業から撤退した。結局一年にも満たなかった僕の失敗談を、聞いて欲しい。

小説家を目指す

僕は読書が好きだった。読書好きの域を出て、活字中毒者に近かった。大学生の時は、少なくとも月に50冊読んで、全ての本の感想をネットに挙げていた。多い時は一日に十冊読んだ。速読術の類は挑戦したが身につかなかったので、読む速度は人並みだと思う。小説から、生物学、哲学、工学、心理学、ビジネス書まで、読むジャンルは様々だった。小説は専ら海外のSF作家の本を読んでいた。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」で有名なフィリップ・K・ディックは特にお気に入りだ。いつしか、自分でも本を書きたくなった。書き始めると止まらなくて、18万字の小説を一気に書き上げた。

これは傑作が出来たと思い、早速小説の新人賞に応募した。しかし、落ちる。様々なコンテストに応募したが、全て一次審査で落ちた。審査員はよっぽど見る目が無いのかなどと考えていた僕も、4回目ともなると自信を失いかけていた。そんな時に、ある出版社から連絡が来た。

共同出版の誘い。あなたは120万円払ったら作家になれると言われたら払いますか?

それは共同出版の誘いだった。出版にはいくつか種類がある。
商業出版:著者はお金を払わず、出版社が全ての出版費用を負担。誰もが望む出版の形。
自費出版:文字通り自費で出版する。自費出版から著名な作家になるケースも稀にある。
共同出版:ほぼ自費出版と同じ。最初の印刷代を著者が払う。

僕は最初、舞い上がった。遂に自分の小説の価値をわかってくれる人が現れたと思ったからだ。電話で編集者と話した。「こんなに書くなんて凄い」違和感を覚えた。作品の内容には一切触れず、ひたすらページ数を褒めてくる。この人本当に読んだのか?後日、見積書が届いた。128万円。この額を払えば、書店に自分の本が並ぶという。びっくりした。払うはずがない。2万円しか持っていないとメールを送った。返事は来なかった。これは詐欺では無いのか、と思った。調べると、自費出版被害者の会というページを見つけた。作家になれると思い払ったが、結局ほとんど売れずに作家として生きていけなかった人たちが、出版社を非難していた。提示された額には、前もって出版社側の利益が入っているに違いない。
なので売れなくても問題無いという算段。さて僕はどうしたか。

電子書籍で出版

当時、今ほど流行っていなかったが電子書籍がポツポツと出始めていた。執筆データはデジタル化されてるし、これなら自分で出来そうだと思い、ネットで調べながら電子書籍を作った。そしてAmazonに僕の本が載った。全て自分でやったので、費用はかかってない。128万円が0円になった。これは凄い。この仕組を使えば、誰でも作家になれると思った。そこで僕はこれをサービス化することにした。

出版社を立ち上げる

作家を目指していて困ったことが3つあった。
1.コンテストに入賞しないと商業出版してくれないが、コンテストの敷居は高い
2.コンテストの審査結果は早くても半年程度かかり、その間どこにも応募できない
3.電子書籍で個人出版できるが、どうせなら出版社から出版されたと自慢したい

これを解決するサービスを考えた。それが、「電子書籍出版に特化し、常設のコンテストを開催するオンライン出版社」である。小説家を目指す人がメールを原稿で送ると、一ヶ月後に講評を送り、その月で一番良かった作品を出版するというサービスだ。今は沢山あるが、その時は電子書籍出版補助みたいなサービスは殆どなかったので需要はあると思った。応募は来なかったが、出版社と名乗れば来るだろうと、会社を設立した。設立自体はドリームゲートというオンラインの会社立ち上げサービスを使った。そうして資本金が一万円の出版社が出来た。僕はたまに自分でも恐ろしくなるほど楽観的で、会社を作るリスクや大変さは本で読んでいたが気にしていなかった。しかし、実際に会社を登記した日の夜は不安を感じた。不安になるなんて自分らしくないと思い、不安の原因をノートに書き出した。結果、「法律や税金」を全く知らないことによる不安だとわかり、それらの本を買って読んでからは不安を感じなくなった。そのときに読んで助かった本が「起業から1年目までの会社設立の手続きと法律・税金」。

応募ゼロ

仲が良かった友達の中で、興味があると言う2人を誘って、各種SNSを作ったりと宣伝した。しかし、応募はゼロ。事例が無いのが原因と考え、こちらから作家希望者にアプローチすることにした。小説をネットに上げている人に声をかけ、うちから出版しませんかと聞いたところ、早速OKの返事がいただけた。嬉しかった。しかし同時に、全く知らない人の人生に関わるという責任感を重く感じた。

予想以上に大変だった出版作業

出版作業は予想以上に大変だった。まずはひたすら文章を校正する。編集者をしてくれた友人は、OKをくれたネット小説家のファンだったので、慎重に慎重に校正していた。何十回も同じ作品を読んで、ノイローゼになりかけていた。僕は編集者の大変さを知って、これからどんどん応募が来るぞとは言えなかった。表紙も手抜きをしたくなかったので、イラストレイターの外注サイトで、小説の雰囲気にあっていそうな人にお願いした。表紙+数点の挿絵をお願いした。

イラストレーターの失踪

表紙や挿絵で妥協をしたくなかったので、イラストレーターが作ってきた作品に、何度も修正を依頼した。割にあわないと思ったのか、素晴らしい表紙を書いてくれたが、挿絵を書く前に音信不通になってしまった。最初は何て無責任な仕事をするんだろうと憤った。しかし、考えてみれば当然だった。僕らにとっては、人の人生を左右するほど重要で、とことんこだわって欲しい仕事でも、彼(彼女?)にとっては安い値段で請け負った仕事の一つに過ぎない。一度も顔を合わせないで仕事を頼むのは辞めようと思った。

出版。しかし…

その後、印税を設定したり契約書を作ったりと出版に必要な細々したことをこなし、遂に出版。僕はAmazonランキング一位を目指していた。しかしながら、すぐにその考えが甘いことを知る。SNSや書評レビューサイトなどに頼んで宣伝するも、全く売れず。著者用に、売上が確認できるWEBサービスを作ったが、売上数を更新出来ず悔しかった。


新しいサービスを考える

このままじゃ会社が成り立たないと、新しいサービスを考えた。僕が考えたのは、タブレット(kindle)で会社から出した書籍を月額で読み放題というサービスだ。単体で買う人が居ないなら、セットにして価値を出せばいいのではないかという発想だった。このタブレットを大学図書館などにレンタルすることで、安定してお金が入ってくると考えた。当時、AmazonのHPに「Amazonの社長に連絡する」というフォームがあって、そこにメールした。勝手にやっては怒られるかな、と思ったからだ。ちゃんと返事は来て、担当者の人からタブレット貸出サービスになるので特に問題はないといった趣旨の返事が来た。早速始めようと思った頃、文句を言わずに手伝ってくれた友人たちが辞めたいと言い出した。確かに、全くお金にならず誰からも褒めてもらえない無謀な挑戦をするより、バイトをしていたほうがマシと考えても仕方がなかった。それに、友人の1人は就職が決まっており、もう卒業だった。引き止める理由も思いつかなかった。

あっけなく終わった出版社

それから数ヶ月して、結局本は全く売れず、僕は出版サービスを辞めることにした。それまでに売れた代金を全て作家に払い、謝罪をした。僕らを信じて作品を任せてもらったのに、凄く申し訳ないことをしたと思った。手伝ってくれた友人たちにも、申し訳なかった。こうして僕の最初の起業は、後味の悪い大失敗で幕を閉じた。

終われない

しかし、これでは終われない。僕は自分が作ったサービスの問題点と、今回の起業の問題点がわかっていた。サービスの問題点は、課題保有者が、お金を払う人では無かったことだ。つまり、作家希望者の課題を解決するサービスだったのに、その作家希望者からはお金を取らなかったのが問題だった。ようやく自費出版が成り立つ理由がわかった。
次は、課題を持っている人がお金を払ってくれるサービスをしようと思った。
そして、今回の起業の最大の問題点は、本の出版を手伝うということに、僕の情熱が無かったことだ。課題は自分事で解決したかったが、編集作業や出版作業などは僕のしたいことではなかった。終わった後になって、それに気づいた。そして、会社名を変えて、僕は新しい会社、学習アプリ開発会社を始めた。次回に続く。

その後

実は、Amazonで1位になるという目標は、想定していなかった方法で最近達成できた。

そう、自分で自分の本を出版したのだ。

独学で身につけるためのプログラミング学習術

この本がどうやって出来たのかも記事にしたので、興味ある人はぜひ。

アジャイル開発を書籍に適用したら、個人出版でもAmazonランキング1位ベストセラーを3日で取れた方法

また、小説家になって賞を取る目標は、まだ達成できていない。

第四回星新一賞最終候補作までいったのが最高だ。

今後も書き続けたい。

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